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結婚前提の付き合いって?
音羽は、家にも居づらいし、お金もほしいので、元日だけ休みをもらい、2日からアルバイトに出ていた。
2日は初詣客でマックも大忙しだった。
カップルで楽しそうにしているのを見るのが、なんとなく辛かった。
4日には、ビィオラの練習初めで、オ―ケストラ部員が揃った。
皆生き生きした新年を迎えていた。
一人浮かぬ顔の音羽に、仲間の純が
「どうした? 彼氏と上手くいってないのか?」
「ううん、別にそういうわけじゃないけど・・・仕事忙しいらしくて、色々相談したくても、会う時間がなくて出来ないの」
「へぇ~! 一緒に初詣とか行かないの?」
「仕事で忙しいみたい・・・」
「でも、結婚の約束したんだろう?」
「うん! 結婚前提に付き合いたいって! 言ってくれたよ」
「付き合いたい? プロポーズじゃなくて? 付き合いたい? 何それ?」
「へっ?」
「付き合いたいって?・・・付き合ってから結婚考えるってこと? 結婚しないことにしたって言うのもありだよな? 結婚するってこととは違うだろう! てっきりプロポーズされてOKしたのかと思った・・・」
「でも・・・信じるって言ってくれたよ」
「信じるって・・・何を?」
「思いが変わらずに待つことかな・・・」
「何か、あやふやだなぁ~? 音羽は世間知らずだから、騙されてんじゃないの? ちゃんと話して来いよ! 大切なことだよ!」
「そうだね! ちゃんと聞いてくる! 私も気持ちがモヤモヤして・・・」
そうかもしれない・・・プロポーズの言葉あったかな? 記憶にない。
それって? 結婚の約束じゃなかったのか? 私の一人よがりだったのか?
最近の恭平さんの行動考えると、私は必要なさそうだし・・・だんだん、自信がなくなってきた。
練習を終えて帰ろうとした時、オーケストラ仲間の美恵が、
「音羽お願い! バイト助けて!」
「えっ? アルバイト? どんな仕事なの? 私で出来ること?」
「音羽で充分出来るよ。ホテルのピアノライブ、7時と8時、2回で1回30分で合わせて3万円、どう?」
「やる~! でも、美恵は?」
「私、8日彼氏のご両親に食事誘われちゃて・・・断れないでしょ! だから、その日だけ変わって! お願い!」
「良いなぁ~~彼氏のご両親と食事なんて・・・家族に認められたってことだよね。楽しんできてね」
今の音羽にとっては、夢のような情景だ。
私と恭平さんにそんな情景が来るのだろうか? と・・・
私はピアノも、ホテルのライブくらいなら出来るので、拘束時間3時間弱で3万円は魅力だった。
8時半に終えて急げは門限には間に合う。
音楽演奏でお金貰えるなんて、ラッキーくらいにしか考えていなかった。
その後、恭平さんから
(今成田、今日4日から7日まで、ヨーロッパに出張になった。会うのはその後になるから)
と、午前中の早い時間にラインが届いていた。
本当に忙しそう! 私は我慢我慢・・・
その翌日8日が最低の日になるとは・・・
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