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「それ以降、伊春は祖父に理解してもらうことを諦めて、祖父と口をきくこともなくなったよ。そのニ年後に、祖父は亡くなったんだけどね」
「そう、だったんですか……」
「だけど祖父が亡くなったちょうどその頃、伊春の病気が悪化してね。実は中学校はあまり通えなかったんだ。家庭教師の先生に来てもらって勉強は見てもらっていたんだけど、友達はあまりいなくてね」
「……」
……全然、知らなかった。
病気のことも、おじいさんとの話も、中学校にあまり通えていなかったという話も……俺は何も知らなかった。
もちろん、伊春にとって話し辛いことだったのだろう。だから、何も語らなかった伊春のことを責めるつもりは全くない。
すると伊春のお父さんは、話を続ける。
「伊春も、高校生になってからは体調はだいぶ良くなって学校には通えていたんだが……祖父とのことが原因なのか、中学生の時にあまり人と関わってこなかったことが原因なのか、当時の伊春は私と妻以外には誰にも心を開かなくてね。どこで覚えたんだか愛想笑いが得意で、誰かと特別親しくなることはなかったんだ。そんな日々を送っていたある日、私と尚君のお父さんが知り合い、お見合いの話が出て……あとは尚君の知っている通りだ」
「はい……」
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