six

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そして……。 「君と会えなくなってからの伊春は、しばらくはもちろん落ち込んでたけど……尚君みたいに明るい人になりたいんだって言って、自分から殻を破って、たくさん友達を作るようになっていったよ。伊春が変わったのは尚君のお陰だ。ありがとう、尚君」 「そ、そんな。俺は何も……」 「だからね、尚君。伊春と……別れてもいいんだよ?」 ……んん? 「ちょ、ちょちょ、ちょっと待ってください! 今、そういう流れでした⁉︎ その、俺が言うのもあれですが、今の流れだと『これからも伊春をお願いします』的な感じじゃなかったですかね⁉︎」 いや、俺が言うのはほんとにおかしいけども……。 でも、伊春と別れるつもりなんてないのに突然そんな風に言われても意味が分からない。 これからは、今まで以上に伊春に寄り添っていきたいーー伊春が弱っている時には弱音を吐き出せる場所になりたいーー心の内でそんな決意を固めたばかりだったというのに。 すると伊春のお父さんは、こう答える。 「あ、すまない。話の順序立てが下手だったよね。さっき妻が少し話したけど、アルファは本来、幼少期には大きな病気にはかからないはずでね。つまり伊春の病気には前例がほとんどないらしいんだ。だから正直、これからのことが医者にもよく分からないらしい。このまま元気でいられるかもしれないし、急に具合が悪くなることもあるかもしれない……」 「え……」 「……この間、伊春はこう言っていたんだ。七年前、君のことが好きだから結婚したいと思っていた。でも今は……あの時より更に君を好きになりすぎて、いつ何が起こるか分からない身の自分が結婚なんてしていいのか悩んでる、って。結婚しても、君のことをある日突然一人にしてしまうんじゃないかと不安らしい」 「……バカだな、あいつ……」 そんなこと、気にするなんて。俺は伊春と一緒にいられれば、それだけでいいのに……。
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