six

11/16
前へ
/135ページ
次へ
ーー… その後、伊春をリビングに呼び戻し、四人で紅茶を飲み直した。 その際の会話はたわいもないものばかりで……伊春の病気については一切触れなかった。 そしてーー志賀原家を後にし、伊春の運転する車で家まで帰りながら、俺は改めて話を切り出した。 「……病気のこと、ご両親からちゃんと聞いたよ」 「……うん」 「何で今まで言わなかったんだよ」 言わなかった気持ちは分かるし、言ってくれなかったことを責めたいわけでもない。でもやっぱり、一応言わずにはいられなかった。 「……うん、ごめん。尚と付き合い出してからまだ日も浅いし、引かれたら嫌だなと思って言い出せなかった。日常生活には差し支えなかったし」 「あのなあ。病気のこと知ったからって、俺が引くとか思ってたのか?」 「うーん、全く思ってない」 「分かってれば良し。……あのさ、もしかして俺と一緒にいる時もたまに体調悪い日とかあった?」 「……ほんの時々ね」
/135ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2685人が本棚に入れています
本棚に追加