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ーー…
その後、伊春をリビングに呼び戻し、四人で紅茶を飲み直した。
その際の会話はたわいもないものばかりで……伊春の病気については一切触れなかった。
そしてーー志賀原家を後にし、伊春の運転する車で家まで帰りながら、俺は改めて話を切り出した。
「……病気のこと、ご両親からちゃんと聞いたよ」
「……うん」
「何で今まで言わなかったんだよ」
言わなかった気持ちは分かるし、言ってくれなかったことを責めたいわけでもない。でもやっぱり、一応言わずにはいられなかった。
「……うん、ごめん。尚と付き合い出してからまだ日も浅いし、引かれたら嫌だなと思って言い出せなかった。日常生活には差し支えなかったし」
「あのなあ。病気のこと知ったからって、俺が引くとか思ってたのか?」
「うーん、全く思ってない」
「分かってれば良し。……あのさ、もしかして俺と一緒にいる時もたまに体調悪い日とかあった?」
「……ほんの時々ね」
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