2685人が本棚に入れています
本棚に追加
それから数日後の夜のことだった。
いつものように伊春の部屋で一緒に寝ていたのだが、伊春が起きている気配がして、俺も目を覚ました。
「伊春?」
伊春は上半身を起こした体勢で胸の辺りを押さえ、肩を上下させて呼吸を乱しているように見えた。
「伊春、大丈夫か?」
「あ、ごめん尚……起こしちゃった?」
「それは全然いいって。それより、体調悪いのか?」
「……少し。でも薬飲んだし、すぐに良くなると思う。たまにあることだし」
「何か温かいもの飲むか?」
「ありがとう。じゃあ、お願いしてもいいかな?」
「おう!」
俺はキッチンに向かい、温かいココアを淹れて寝室に戻った。
部屋の電気は薄暗いまま。電気を点けようかとも思ったけれど、目が冴えてしまうかもしれない。眠くなったらすぐに寝てほしいから、あえて電気は点けなかった。
俺からマグカップを受け取った伊春は、ゆっくりと口付けて「美味しい」と言ってくれた。
最初のコメントを投稿しよう!