seven

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seven

はっきりとした答えが出ないまま、数日が過ぎた。 店長の怪我は予定通り順調に治り、俺が東京で仕事するのは残り一週間となった。 伊春と離れるのは寂しいし、それ以上に伊春の身体のことが心配だけど……今後どうするかはともかく、いったんはまたしばらく新潟に戻らないといけない。 「よし。ここも綺麗になったかな」 汚れたモップシートを外しながら、俺は独り言のようにそう呟いた。 「そんな細かいところまで掃除してくれなくていいのに」と、後ろから伊春が俺にそう言ってくる。 「しばらく世話になった家なんだから、出ていく前に綺麗にしていくのは当然のことだろ。なのに、何でお前まで一緒に掃除してんだよ」 「え? 一緒にやったら楽しいじゃん」 「楽しくはねえよ、別に」 ……まあ、本当は結構楽しいけど。
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