seven

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「そうだ。あのさ、今夜どっか外食でもしない?」 モップを片付けながら、俺は伊春にそう提案した。 「外食?」 「ああ。しばらく居候させてもらったお礼に奢らせてくれよ。行きたい店があれば、夜までに考えといて。前に伊春に連れて行ってもらったような高級レストランとかは無理だけど……」 「分かった。夜までに考えておく」 「うん。そんでさ…… 飯食った後で、大事な話があるんだ」 「……大事な話?」 「……うん」 俺が頷いた後、伊春は「分かった」と答え、にこっと微笑んでくれた。 ただ、笑ってはいるけれど少し戸惑っているようにも見えた。大事な話があるなんて急に言われたら、誰だってそんな表情になるよな。 ……ごめんな、伊春。俺、あれからたくさん考えたけど……お前が多分望まない答えしか出せなかったよ。 でもせめて、この気持ちに嘘を吐かずにちゃんと伝えるから……。
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