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「拗ねてる尚も可愛い」
「す、拗ねてなんかな……っん」
振り向きざまにキスをされ、頭をがっちりホールドされて逃げられない。
「……っ、ぷはっ。や、やめろって！ もー！」
俺は伊春の身体を何とか自分から引き剥がしてから、そう言えば重要事項を言っていなかったことを思い出した。
「あのさ、伊春！」
「ん、何？」
「俺達は結婚の約束をしているわけだけど、プロポーズは俺からしたんだから、結婚したらお前が妻で俺が夫な！」
「え？ オメガとアルファが結婚したら、法律や社会的にはオメガ性が妻になるよ？」
「そ、それはそれとして！ 家庭内の立場は俺が夫な！」
こんな子供っぽいことを言ったりして、何か言い返されるかなーとも思ったけれど……伊春は穏やかにクスッと笑うと、
「僕は何でもいいよ。尚と一緒にいられるなら」
と、そう答えた。
クソ、やっぱり余裕あるな、こいつは。
まあ実際のところ、妻とか夫とか、俺も何でもいいんだけどさ……それこそ、俺だって伊春とずっと一緒にいられれば、それだけでいい。
ーー住んでる世界が正反対なんて、もう言わない。
これからはいつだって同じ世界で、隣に並び合ってずっと笑い合っていくのだからーー。
End
→ちょっとだけ番外編に続く
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