2685人が本棚に入れています
本棚に追加
帰宅後、キッチンで食事の用意をしていると、妹の香耶が「お兄ちゃん」と声を掛けてきた。
香耶は、俺より七歳年下の高校二年生。学校から帰ってきたばかりなのか、まだ制服を着ている。
「香耶、どうした?」
「お兄ちゃんに、ちょっとお願いしたいことがあって」
「お願いしたいこと?」
やけに神妙な様子に見えたから、俺はいったんコンロの火を止め、香耶に向き合った。
「あのね。今週末、一緒に東京に行ってくれないかな?」
「東京?」
最初のコメントを投稿しよう!