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「ママ、それはなぁに?」
「どぉれ?」
ママがお化粧をしている横で扇風機の風に前髪を捲らせたユマちゃんは、小さな右手に握り締めた鉛筆をママの手元に突きだしていた。
「これはね、くちべにだよ」
「くちばに?」
「そうよ、くちべに」
新しい言葉を覚えたユマちゃんは笑顔で叫ぶ。
「くちばに!」
子供は初めて聞く言葉をすぐに覚える。でも初めから正しく覚えることは出来ない。
その不完全な言葉は、いつでも新しいワードを産み出すのであった。
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