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メランコリー。
いつでも空気のように俺の周りを取り巻いている。
そう、空気のように。
息をするたびに、それを吸い込み、また、吐き出している。
物心ついた時から身体に沁み込んでいたそれが、病気からきている気分ではないということは、自分でもよく解っていた。薬ではとうてい治すことはできないからだ。
俺は幼い頃から怯えを押し殺し、いつも思っていた。
大きくなったら、この心をふさぐ重苦しく暗い思いは霧のように消えてしまうのだろう、と。
だから無事に大きくならなくては、大人にならなくては、と。
でもそれが逆に怖くもあった。
じぶんは大人になれるのだろうか?
大人になるのだろうか?
どうやって?
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