青春ってカオスだっけ1

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青春ってカオスだっけ1

【前書き・あらすじ】 高校三年生の山下宏樹が学生生活最後の年に悔いの残らないように友達と馬鹿なことをする。 恋愛や勉強、学校生活において起こる事件を描きます。 時には怒られ、喧嘩もするし、泣いたり笑ったりした大切な日々を忘れない。 高校の時に初執筆作品です。宜しくお願いします。 **** あれは俺のひと夏の青春だった 駆け抜ける風に蒼い空 それなりの生活を送っていた俺は… っておい。そんな話じゃないだろ。 この話は題名の通り俺の貴重な青春がカオスな事態になってしまった話。 つまらなければ、本を閉じてもらっても構わない。 本当にいいのか。いいんだな。俺は嫌だぞ。 まぁいい。置いといて おさらいしてみよう。 おさらいも何も始めましてだけど。 俺は高校3年の山下宏樹 そして、俺の友達は後で説明する。 『え゛っ~~』 悲惨な声をあげたのは寿史と悠貴だった 『おいおいマジかよ。 今年から女装・男装禁止かよ』 生徒会室前の掲示板に新しい貼紙がしてあった。 それを見つけた二人の空気は淀んでいた。 『二人とも、どうしたんだよ』 振り向いた悠貴は恨めしそうな顔で俺の肩を掴んだ。 『毎年恒例の宏樹の女装姿見れねーじゃんか』 『おい、寿史どういう意味だよそれ。 大体なぁ~俺がやりたい訳じゃねーよ』 仏頂面で答える俺にニヤニヤと寿史が頭に手を置く 『なんて言ってなぁ、お前昨年ノリノリだったし』 『っ馬鹿、誰が』 『証拠ならある。ふふ。 俺の自前のカメラで撮ったのが』 『うへぇ、寿史相変わらずどういう神経の使い方してんだよ。 お前が得意なのはハッキングだろ、どこに脳使ってんだ』 『お褒めに頂き光栄です。』 『褒めてねーよ。』 『相変わらず騒がしーな。 もうちっと落ち着けねぇのか。 いくら文化祭って言ってもよ』 生徒会室の後ろの扉から出てきたのは眞中信也。 俺達とよくつるんでいる。 『信也だってワクワクしてる癖に』 『それより、彼女はどうした』 『は?彼女なんかいねーし。 お前どこに目ついてんだよ。 あれは、副会長だってんだろ。』 『会長様、なんでどうして俺達の宏樹の女装が駄目なんだよ』 悠貴が信也に抱き着いた。 心底ウザそうに引っぺがそうとしている。 『くっつくなって、…ん、あれだ。なんつーか』 『なんだよ、珍しいな口ごもるなんて』 寿史は普段から冷静沈着で頭の回転が速いのだ。 『保護者やPTA、近所の方々から直々にクレームがきてな。 女装は気持ち悪く子供への悪影響になるんだと。 宏樹、お前の事を言ってんじゃねーぞ。』 『…マジかよ。』 『本当か信也。』 『あぁ』 全員が黙り込み重苦しい雰囲気になってしまった。 したい訳ではないけど、心底楽しみにしていたところは嘘ではない。 どうにかして打開しないと。 『あっ、あのさー。俺の女装見て誰が喜ぶんだよ。 な、気落とすなよ。 一緒に焼きそば買いにいこう。』 俯いていた三人は俺の顔を覗き込み、お互いの目を見合って頷いた。 はぁ、一息着こうとしたその時 『ブッは、なんだよその顔。 俺らが簡単に挫折する訳ねーだろ』 悠貴が俺の顔を指さして笑い転げている。 『本気で落ち込んだと思って一生懸命慰める姿に笑い抑えんの大変だったんだぞ、腹痛ぇ』 『くっそー、心配して損した。』 俺は呆れて背を向けた。 教室に帰ろうときびすを返すと肩を掴まれた。 『ほら、行くぞ』 『どこにだよ』 『悠貴、笑い転げてないで宏樹連れて行くの手伝え』 『おっ、ちょっ待てって。おい』 俺は両肩を屈強な男達にガッチリと抑えこまれ、まるで捕まった動物かのような格好で運ばれている。 『ごちゃごちゃうるせーな、俺はうるせーの嫌いなんだよ』 そして、二人に胴上げの状態で運ばれた。 『おろせよ。教室帰って寝るんだから』 必死に抵抗するが、びくともしない。 その時前の扉から美少女が出てきた。 『あれ、眞中さん。どこに行くのですか』 見た瞬間信也は顔を固めた。 『あっ、佐藤。えーと、俺はちょっと用事があるからさっきの文章の確認しておいてくれないか?』 彼女は微笑み、手を振った。 『わかりました。 早く帰ってきて下さいね。 一人で片付けるの大変なんですから。』 悠貴が肘で信也の脇腹をツンツンと突く。 『おい、おいって。お前猫被りすぎだろ』 悠貴の事を一瞬無視をしたが、触れられるのが嫌そうに顔をしかめた。 『悪ぃかよ。生徒会長がこんな口調でめちゃくちゃやってたら辞めさせられちまうだろ。』 あれ、こいつこんな奴だっけ。 俺と馬鹿なことばかりしていて先生に怒られてばっかりで。 生徒会長になるくらいだから頭はいいし、厳つい見た目の割に柔らかい対応が好評なのだ。 『違うんじゃないの、実は…信也。』 意地の悪い顔で寿史が呟く。 俺はこういうときは寿史を止めないといけない。 なんだか、とてつもなく酷いことを的確に口走るから。 『でた、人間を蔑むような目をする悪魔め。 信也何言われるかわかんないぞ。早くおろせ』 『宏樹は黙ってなよ。 ねぇ、信也実は彼女の事が好きなんじゃ』 信也の目が明らかに泳いだ。 小学生の頃から仲の良い俺だけにはわかる。 『うっせーよ、なわけ。ほら、着いた』 突き当たりの倉庫代わりに使われている教室。 段ボールが置いてあり、今年は使わない衣装が丁寧に畳んで置いてある。 『このミニスカポリスとかどーよ』 悠貴が持ってきて俺の目の前にぶら下げる。 そこに信也が割り込んで俺の上に服を乗せた。 『いやいや、看護婦は』 視界が白一色に染まる。 目の端に、赤い十時が見える。 俺はそれを掴んで信也に投げつけた。 『お前らなー、エロいDVDの見すぎだろ』 顔面にナース服をくらった信也はこもった声で言う。 でも、声が半分笑っている。 意地の悪いことを思いついた時の声だ。 『俺達さ、まだ18以下だから見れんの宏樹だけだよなぁ。俺らの代わりにレンタルビデオで借りてきてくんねぇかな。 なぁ、3ヶ月前から常連なんだろ。』 『そんなの、見てねーよ。 嘘つきやがって、噂にされたら、どーすんだよ。』 『へぇ、怖いんだ。』 悠貴がジリジリと俺に近づいてくる。 『うーん…俺の好みは、セーラーかな。 絶対絶対興奮するよな。ニーハイ履かせて』 寿史は俺の肩に手を乗せた 『ちょっ、マジかよ。 冗談きついぞ。お前ら、何考えてんだよ』 『そーだ、そんなん完璧にやっちまえばバレねぇだろ。』 半分引いてきた俺は手を振り払おうとするが、中々離れない。 三人の手が俺の制服のネクタイ、カッターシャツ、ズボンに伸びる。 俺の叫び声が校舎に響き渡った。 #本気__マジ__#かよ。えらいことになってしまった。 『俺は嫌だぞ。離せって。咲ちゃんの前でこんな姿見せられっかよ。』 『暴れるなって。ほら、皆が準備してんだから行くぞ』 ズルズルと部屋の外に出され、扉を悠貴が閉めた。 『おい、どうしたんだ』 聞き慣れた声がする。こいつはもしかして。 『どうかしましたか森本くん、遠藤くん、眞中くん…と誰だ君?見ない顔だな。』 最悪な時に最悪な相手にあってしまった。 『こちらを向きなさい。』 本当にマズイ事になった。
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