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「ほら、あーん」
「あ、あーん.....っ!おいしーですアスモデウスさま!」
「人形は喋りなんてしないだろう。何をしているんだ?」
「!!」
「いい子。本当に綺麗だお前は」
俺の指摘にハッとした表情を見せたちびちゃんは両手を口に当てる。可愛すぎて思わず頭を撫でてしまった
うう...すごいいい子.....
キチ発言製造機の俺のこと無視せずちゃんと言うこと聞きなおかつかわゆいファンサまでしてくれるなんて...主もう感激よ.....
お菓子いっぱいあげちゃう...
次はマカロンをやろうと皿に手を伸ばしてたら後ろに控えているライムからテレパシーがきた
『なぜ連れてきたのですか』だと
よく見たら給仕をしているエルフさんたちからも何故ここにその子を...!?と綺麗な顔面で圧が飛ばされてきている
いや、俺も連れてこようとは思ってなかったんだけどライムに呼ばれた後に...
「《申し訳ありません。配下達より門が蹴破られそうだと報告が来ましたので私は先に帝王様方のお迎えに向かいます。アスモデウス様、お早めに会場においでくださいませ。あとは任せたぞ》」
「了解いたしましたライム様。
ではアスモデウス様、参りましょう」
「.......」
「アスモデウス様?」
「分かってるってば。二度も言うんじゃない」
すまし顔で答えてみせているが内心かなり焦っていた。イマジナリーアズくんはダラダラと冷や汗をかいている
差し出された手を取って大人しくエスコートを受けようと思ったのだがふと感じた暖かな重み。オンザヒザしてるちびちゃんだ
流石に天使を混沌としたお茶会に連れていくなど論外であるので下ろさせてもらおうとした…ところがどっこい!ちびちゃんは全く動かなかった!
一瞬意味が分からなくて思わずガン見してしまった。しかしそれが所詮悪手というもの。何を勘違いさせてしまったのか嬉しそうな顔で向かい合わせになってこちらに抱きついてきたショタ天使
まだ相手が顔面大優勝してる美少年のため少々危険な香りがしていることに目をつぶれば特に気にする点はない。
問題なのは『と゛う゛と゛い゛ぃ』と汚い高音で叫びだしたい衝動が抑えきれなくなっている精神状態の方である
奇しくも俺は無類の小動物好きであった(白目)
心頭滅却心頭滅却…南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏…アーメンツケメンぼくイケメン…
落ち着け、問題ない。お前ならいける。ここで叫んでしまえばあんなに慕ってくれる皆さんの目がたちまち絶対零度となってしまうぞ。耐えるんだ
いや、何がなんでも耐えねばならない
「おい貴様、早くどけ。僕は早く父上達を迎えに行かなければならない。言うこと聞けないの?」
「…ど、どうしてもですか?」
「!?こ、こら!タビー!!」
あ、この子タビー君っていうんですね。お初でした
「……ライムさんは、ずるいです。いっつもアズモデウスさまのちかくにいて
ぼくだって、ぼくだって……」
一粒の涙がはらり。くりっくりの綺麗な瞳が濡れているのはそれはそれは目が引かれるもので、俺は銅像のように固まってしまい動けなかった
名誉のために言うが決してショタコンではない。子供の涙には理由は違かろうと大抵の人が弱いものである
「アスモデウスさまのお傍にいたいって思うのは、だめですか?」
もうだめでした。涙だけでもあたふたして銅像化余裕だった俺が、ぎゅっと抱きしめられて耳元でそんなこと言われてノックアウトされないなんてことありえるはずもなく
『し、仕方ないな。これだから愚民は…ふん!慈悲深い僕でよかったね。傍に使えること、許してあげなくもないんだから』
と誰得だと全力で叫びたいツンデレ感溢れる了承の返事を即答してしまったというわけだ
いやぁ、うん。しょうがないよね
オレワルクナイヨ、ワルイノハカワイスギルショードウブツサ……
______________嘆く主は知らない
まさか抱きつかれて見えなかったタビーくんが、自分が了承を出した途端に涙なんて消し飛ばしにやりと笑っていただなんて
全てを知っている親の使用人が息子の将来に頭を抱えていることは言うまでもない
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