ホワイトムスクの贈り物

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「刀で斬らなくても、保健所で殺処分してますよね。それって同じ事なんじゃないですか」 確かにそうだ。 殺し方の違いだけだ。 「じゃあ、今も化け猫とか化け犬なんて話があっても可笑しく無さそうですけど…」 なるほど…。 面白い事を言う。 上杉さんは椅子から立ち上がり、私の傍に来た。 「先生、どうですか。現代の化け猫話。書いてみませんか」 いつもに増して目を輝かせている上杉さんに圧倒されながら私は頷く。 「まあ、化け猫ってのは現代らしくないとしても、猫の幽霊なんてモノはある話なのかもしれないですね」 古くは太宰も蚊の幽霊を書いている。 猫の幽霊も勿論あるだろう。
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