ホワイトムスクの贈り物

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いつも突然始まり、突然終わるのが椎名先生の電話だった。 多分、あまり電話が好きじゃないのだろう。 私もその辺りは同じで、出来れば電話なんてこの世から無くなれば良いとさえ思っている。 ん…。 そのお礼って事か…。 ネコとタチの話のお礼に招き猫を贈ったとなると椎名先生も相当タチの悪いお人だ。 先生なりの洒落のつもりなのか…。 「先生。夕飯、どうされますか」 と上杉さんが書斎の入口で言う。 「何か食べたいモノとかありますか」 上杉さんは今日も夕食を食べて帰るつもりらしい。 「ああ、何でも良いけど…」 「それが一番困るんですよね…」 まあ、お決まりの会話だった。
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