ホワイトムスクの贈り物

27/31
前へ
/31ページ
次へ
「さっき調べたんですけど、猫のお肉って美味しくないらしいですよ。お魚臭いらしいです。筋も多くて脂っこいって」 私は顔を顰めて頷いた。 そんなモノをこの飽食の時代にわざわざ食べる事も無い。 可愛い顔をした猫に名前まで付けて一緒に暮らしているのに、その愛猫を食べようとするなんて今の日本では考えられない。 私は味のしなくなってしまったステーキを口に入れた。 テーブルに置いたスマホが振動を始めた。 食事の最中に電話。 タイミングの悪い奴だ。 一体誰だ…。 私はスマホの画面を見た。 そこには「椎名崙土」と表示されていた。 その画面を私は上杉さんに見せた。 「椎名先生です。お礼を言わなければ」 私は電話に出た。
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加