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荷物が届いた。
荷物が届く事自体は珍しくも何ともないのだが、通販ではなく、個人からの荷物など年に何度も無い。
送り主は椎名崙土とある。
椎名先生から私に。
椎名先生とは懇意にして戴いている作家の先輩で、今度編集者の女性と再婚されるという事だった。
私は箱をテーブルの上に置いて腕を組み、じっと見つめていた。
「まだ開けてないんですか」
編集者の上杉さんは、私の向かいで面白がって頬杖を突いた。
「椎名先生に贈る事はあっても、先生から何かを贈られるなんてね…」
私は上杉さんに微笑んだ。
「あら、何かのお返しとか、美味しいモノ見付けたからとか、色々とあるじゃないですか」
上杉さんは先程淹れたコーヒーをカップに注いだ。
「私が開けましょうか」
上杉さんは引き出しから鋏を出してシャキシャキと音を立てる。
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