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Chapter1:発症
1
序章
2月7日月曜日の朝、教室にて。
「ふう……」
私は思わずため息をついた。
またなんの変哲のない、1週間の学校生活が始まったからだ。まあ高校生活は正直楽しいし、仲のいい友だちもいる。授業にもついていけてるし、大きな不満はない。強いて言うなら、担任教師が生徒に無関心なことくらい。
ただ何かが欠けている気がする。
そう、"刺激"だ。私の今の日常に、スリリングな感情やドキドキするような刺激は感じられない。
おっと、ここらで簡単に自己紹介をしておこう。
私の名前は碓氷蒼央、16歳の高校1年生である。
名前に"え"を除いたア行が全て入っていて、またア行以外の文字は"す"しかない。
中学時代まで、うすいあおを"薄い青"と変換されて縮めて"薄青"、更に音読みして"ハクセイ"というあだ名で呼ばれていた時期もあった。動物の標本などを意味する、あの"はく製"のことだ。決して歯が臭いわけではないので、悪しからず。
髪型はロングで色は黒、目は大きく背が163センチと少し高い。性格は明るく元気である。また、困っている人をほっとけないおせっかい焼きで、これが時として逆効果となり自滅することもしばしば。
一応、クラス全体をまとめる学級委員を務めている。所属の部活はパソコン部だ。と言っても技能や知識はさほどではなく、ただ単に色々なことを調べるのが好きで入部したに過ぎない。が、ネットの検索のスピードだけは人一倍早い自信がある。
運動はからきしダメで、体育や音楽などの実技系は苦手科目だ。そして恋愛には奥手で、あまり男子とは接点がない。
大体これくらい説明しておけば、私という人間が少しはわかっていただけただろう。
次に、私が通うこの高校の説明に移ろうと思う。
この静鉾高校は、静岡県静岡市にある県立高校で、県内でも有数の進学校である。市街地からは少し離れていて、自転車通学をしている私は学校帰りや休日に、海沿いや茶畑をサイクリングするのが趣味。特に茶摘みの時期である5月の茶畑は、濃い緑一色になるのでオススメの見所だ。気候も穏やかで、走っていると風が気持ちいい。
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