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自白
文巴は私たちを、奥の食堂まで連れてきた。そして初老男性に目をやった。
「紹介が遅れたわね。彼は父の後輩の、大月龍心さんよ。父が離れた後、後継者としてこの研究所を守ってくれているの。今は私の身の回りのことも手伝ってくれている。まさしくパパ代わりね」
「いやお嬢様。恐縮でございます」
文巴に紹介された龍心は、父親代わりと言われ照れくさそうに微笑み、私たちに会釈をした。
「さてと。一つだけ聞かせて。どうして私に目星をつけて、ここまで辿り着いたのか。兵頭くん。私があなたに執拗に話しかけたから?」
相変わらず腕を組みながら、文巴は波玖に尋ねる。波玖はゆっくりとその問いに答えた。
「うん。白根さんが声をかけてくるなんて、今までほとんどなかったからね。しかも、『スーサイド』が届いた翌日から毎日。さすがに違和感を覚えたよ。僕の様子を探っていたのかなって」
「あなたのことが心配だったのよ。常磐くんたちにいじめられてたのを見てたから。『スーサイド』?そんなもの知らないわ」
「文巴、ここまで来てしらばっくれんの?」
未だに自分がウイルスの送り主だと認めようとしない文巴に憤りを感じ、私は語気を強めた。
「蒼央。あなた、ずいぶんと突っかかるのね。あなた検索術が特殊なんですってね。なんでもすぐ調べられちゃうとかって。ここも調べてたら行き着いたの?」
「そうよ。あなたが怪しいと思ってから、"静岡市 白根"で検索したら、この化学研究所がヒットした。あなたの家だと確信は持てなかったけど、みんなで様子を見に行くことにしたの。あなたさっき言ってたわよね?自殺の連鎖で、無関係な生徒まで亡くなったのは想定外だったって。それって空菜たちのことでしょ?あなたの計算では、嗣博と賢四郎の2人がターゲットで、彼らだけが自殺すればそれでよかった。波玖をイジメから守るために。そうなんでしょう?いい加減に認めてよ、文巴!」
私は妙に感情移入し、泣きそうになりながら必死に叫んだ。
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