prova

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 カデナの雪のように、灰のように白い髪を弄びながらプローヴァは少し自責の念にかられる。    この暗黙の了解を伝えたらカデナは今日死んでいなかっただろうから。  でも暗黙の了解を伝える、という行為は自分が大人の思考を持っていることの露呈になる。  遠回しに伝えようとしたのに空気を読まなかったカデナが悪い。  フレンテもウルティオも伝えようとしてあげてたのに。    カデナ、君はこの街の子ども失格なんだよ。  「ごめんねカデナ」  「僕は君よりずっと生きることに貪欲なんだ」  プローヴァはもうなにも聞こえないカデナの耳に口を寄せて囁きより小さな声でそう言って口元を緩めた。
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