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「そう…でも」
「大丈夫!もしどこかの街についたらこの街のことを話して助けに来るから」
カデナはフレンテを遮って飾り立てた言葉を並べた。もちろん本音は昨日プローヴァに語ったとおり助けに来る気持ちなどはない。
しょうがない、彼は下唇を噛む。
自分の身のことを一番に考えて何が悪いんだ、と自分勝手さを正当化しようとする反面、彼は言いしれぬ寂しさを感じた。
自分は浅はかだな、と思った。
「そ。先生みたいなこと言うのね」
ウルティオは嬉しくなさそうなカデナの顔を睨めつけるかのように見て言い放った。
思わずカデナもウルティオを睨み返してしまう。
自分たちを置いていった、綺麗事だけを吐いた、自己中で大嫌いな大人。
「い、一緒にするなよ」
あいつらなんかと、とカデナは視線をそらして言う。むっとした気持ちとともに胸がザワザワとするのを感じた。
大人と、一緒。嫌な響きだ。
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