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「frenteは?」
プローヴァが近くにいた子に尋ねる。
「フレンテさんなら図書室にいたよ」
「ありがと。じゃあ僕たちはフレンテと会議だから」
プローヴァは何人かの子どもに手を引かれているカデナに目で合図して廊下の奥へと歩き出す。
「また後で」
カデナも図書室へと向かうプローヴァの背を小走りで追いかける。
図書室では長い黒髪にメガネを掛けた少年が分厚い書物のページを繰っていた。その横にはぼーっと頬杖をつく仏頂面の少女。
図書室の重厚な扉を開けた音に気づいたフレンテは振り返った。
「プローヴァ、カデナ、おかえり。ちょうどultioもいるから今のうちに話しておこう」
フレンテは本を閉じて二人に椅子に座るよう促す。そのあいだもウルティオはぼーっとしているままだ。いつものことだが。
二人は椅子に座り、やっと個々のガスマスクを外した。
この街の灰は子どもには無害なのだが、一応外出時には皆ガスマスクをつける。
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