灰の街

prova

「…あと何人だっけ」

　フレンテが先程のプローヴァと同じことを訊く。
「731」
　この数が多いのか少ないのか四人には分からない。ただ分かることは今いる731人もあと15年、あるいはもっと早くいなくなるということ。

「なにか外部からの合図とかは…」
「なかったよ、あるわけないじゃん、ねえもう諦めようよ」
　フレンテの質問を遮って食い気味にカデナは言った。
「俺たち捨てられたんだよ」

　ウルティオが三白眼で少しカデナのことを睨み上げる。

「そりゃせっかく助かったのに命の危険冒してまでこの街に戻ってくる人はいないかもしれないけど…」
「みんな逃げ切れてないだけかも」
　フレンテの発言を冷たく遮ったのはカプローヴァ。四人とも押し黙ってしまう。

　その確率のほうがずっと高いからだ。

　一昨年、3月この街にCeneri di morte(死の灰)が降り始めた。

　今も積もっているこの灰はたくさんの人を殺した。

　大人だけの話だが。