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「ほんと大人って自分勝手だよなぁ」
図書室から出て、ウルティオに向かってカデナはつぶやく。
「…だから死ぬんじゃない?」
ウルティオはさして興味もなさそうに返すがカデナは深く考え込んでいた。
一昨年前、次々と死んでいった大人たち。子どもを置いて逃げていった大人たち。子どもから大人になって死んでしまった大人たち。
もういいやとカデナは頭を振る。
「今日、夕飯なんだろな」
わざと明るい声で誰にともなく言い、オトナを頭から追い出す。
食堂に集まっていた子どもたちは四人の姿を見て嬉しそうに寄ってきた。
この食堂はまだ大人がいた頃、宴会によく使われていた部屋だ。
「今日ねぇ、埋まってた種いっぱい見つけたよ」
「あと南は植木屋のおじちゃんが埋まってたよ」
「あはは、びっくりしたよねぇ」
「でもあんま怖くなかったよ」
これが7歳の子たちがする会話として正しいのかなんてもうほとんどの子どもには分からない。
親に死なれて、置いていかれて、子どもたちだけで灰からものを集め、作物を育てて食いつないできた。
死んだ仲間や埋もれていた人を埋葬するのにも慣れてしまった。
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