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と、突如、食堂の窓側のほうから叫び声とも鳴き声ともつかない慟哭の声が聞こえた。
「…誰」
「たぶんminaだ」
眉をひそめるウルティオの問いにプローヴァが答える。
まだ食器は並べられていない食卓に突っ伏して叫び泣いているのは亜麻色の髪で顔は見えていないが、おそらくミーナだろう。
「一体なにが…」
「…グリシーナの友だちだった子だから、か」
困惑気味のフレンテとカデナにウルティオは言った。
グリシーナは今朝死んだ子だ。17歳で、以前から調子が悪かった。そしてミーナはグリシーナの幼馴染みだった。
子どもたちの大半はもう慣れてしまっているから仲間が死んでもいつもどおり。
でもやっぱり仲の良い子が死んだらショックなんだ、と、改めてカデナは思った。
この街にいるとどんどん狂っていきそうだった。
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