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「友達居ないの?」
「そんな目で見るなよ。……しょうがないだろー。生前の人脈はリセットされちゃうし、死んだら携帯電話もスマホも無いんだぞ。連絡手段は限られてる。新しい友人を作るのは酷く難しい」
秋山は顔をずぼっと出して、不服そうに訴えた。私は、秋山に友達が居ないのは他に問題がある様な気がするけど、話が脱線するので口には出さない。
「じゃあ、何処か幽霊が屯していそうな場所に心辺りは無い? 過去に幽霊と遭遇した場所でもいいよ」
「さっき、色々俺に教えてくれたお爺さんがいたって話しただろ? 彼なら会えるかもしれない。夕暮れ時によく花坂公園にいるんだ。そこで、何度か見かけた事がある。だから、今すぐって訳にはいかないけど」
「花坂公園? ここから、遠いの?」
「知らない? ここからも桜の木が見えてるだろ? あそこだよ」
秋山が指差したのは、屋上に出た時から視界に入っていた満開の桜が咲く公園だった。
「へぇ。近いね」
「樹里、もしお爺さんがいて話が聞けたら、それからどうするつもりなんだ?」
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