降りつもる雪の日に

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◆   ◆   ◆   ◆   ◆ 「……」  正直、俺は少女の姿を見た瞬間「どうしよう」と言った感情が頭を過ぎった。  普通であれば「どうしたんだろう?」といった少女を気遣うような感情が過ぎるはずなのだが、そうじゃなかったのは……多分「声をかけて不審者扱いされてしまったらどうしよう」といった迷いと「少女に気がついておきながら何もしなかった」という後悔が混ざっていたからだろう。  それに、少女は傘も差していない上にかなりの薄着だった。いくら「子供体温」とか言って大人よりも体温が高いとは言え、近くに親の姿も見えないのはさすがにおかしい。 「……」  余裕をもって家を出ただけあって少女と話をしたところで余程の事がなければ問題はない。  しかも、こうして俺が迷えば迷うほど雪はどんどん降り積もっていく……。  ただ、下手に声をかけてそのタイミングで親が現れて一方的に不審者扱いされてしまったら……もう面接どころの騒ぎじゃない。 「……」  俺は迷った。ものすごく迷った。しかし「気がついていたのに声をかけなかったという後悔はしたくない」と思い、俺は……。
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