学園2ー6 タナさんの授業と高級な夕食

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学園2ー6 タナさんの授業と高級な夕食

「悪かった。  今までのことも含めて謝罪する。」  あの後、俺達に頭を下げた三人。  今までのことを思い出せば許したく無いのが本音だ。 「今後の行動で示してください。」  だからそう言うにとどめた。  流石に改めてくれるだろうとは思うけど。  先生からは反省を含め、ロエの採取を命じられたようで、三人は必死で採取していた。  学園に着く頃は暗くなっていて、丸一日森にいたっていう初めての体験に加え、色々なことがありすぎて、なんかもう肉体的にも精神的にもズタボロだった。  ロエを温室の端に積んで、そのまま座り込んだ俺達に先生が言う。 「お疲れ様。予定より遅くなっちゃったね。  疲れたでしょ?  ご褒美に回復する薬膳、ご馳走するから食べてみない?」 「先生ぇ、薬膳はご褒美じゃないっすょ。」  イランが顔をしかめる。  薬膳料理って薬草臭かったり、苦味があったりで美味しくないのが通例だ。 「そぉ?  僕が作る料理は美味しいって言われるんだけど。  それに、タカノ茸は十分ご褒美になると思うけどなぁ。  薬学科の生徒ならこの価値知ってるよね?」  知ってる。  分厚い薬草名鑑でした見たことないけど。  かなり希少なキノコのはず。 「本当に?」  俺は首を傾げた。  実物なんて見たことない。希少な上に高級品だ。そのへんの薬屋で売ってるわけがない。 「本当。  乾燥してるし、刻んじゃったから元の形じゃないけど、、、。  僕が採取したんだから間違いないよ。  味も悪くない、旨味があってスープや煮物にもすごくあうんだ。」 「、、、スープとか煮物に使うの先生位っすよ。てか、どこで採取したんすかっ?」  イランが食い気味に聞く。 「それは内緒。  採取家は、自分の採取場所は明かさないものだよ。」 「ちぇーっ。」 「ドウ様、夜が更けてしまいます。  お早く。」 「あ、ごめん。  お茶でもしながら待ってて。」  タナさんに諌められ、温室横の管理室に引っ込んだ先生。  てか、先生料理もできるんだ、、、。 「では、お席に。  気持ちの落ち着くお茶をおいれしましょう。」  と、タナさんに席へ促された。 「あのっ。」 「私達も、、、その、、、。」 「良いのですか?」  御貴族3人組がおずおずと口を開いた。 「ええ。  貴方様方はドウ様に服従致しましたから、もう何も言うことはございません。  それに、、、共にロエを採取したのは事実、その労いはさせて頂きます。  ハーブティはお好きですか?」 「「はいっ。」」  服従って、、、。と思ったけど、3人が何も言わないならいっか。  フォイはまだむくれてるけど、二人から色々と説得されたんだろう。  6人でテーブルにつく。  変な組み合わせだ。一緒にテーブルにつくなんて今までなら絶対にありえない。  なんか気まずいのは仕方ない。 「森から帰ってすぐに温室へ来たのには理由があります。  さらに、少し留まって頂いているのにも、理由があります。」  綺麗な仕草でお茶の準備をしながら、タナさんが話してくれる。  こうして無言の時を作らないのも流石だなって思う。    
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