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「森の魔素は、人についてくることがあります。
森を敬い、森の好む人には特に。
この温室は現在ドウ様が手入れをしています。
この温室の心地が良ければ良いほど、ついてきた魔素はこの温室に留まってくれるでしょう。」
「タナさん、先生はやっぱり花壇のっ。」
口を挟む僕をタナさんが止めた。
「さぁ、私にはわかりかねます。
ただ、ドウ様は縁をとても大事にします。
縁を結んだ方にはとことん、それはそれはドロッドロに甘い方です。
妬ましいですが、それがドウ様ですから、、、。
貴方に答えは言わずとも、常に甘い甘いヒントは与え続けていますね。
森に誘ったのは何らかの意図があってのことだと思いますよ。
私は風属性ですからわかりませんが、、、ドウ様と同じ地属性のあなたならわかるやもしれませんね。
あとは自身で答えを探して下さいませ。」
「は、、はいっ。」
「さ、お茶をどうぞ。」
飲んだお茶は、それは爽やかに鼻に抜ける不思議な感覚、、、凄い濃い香り、檸檬みたいな。
でも、檸檬の輪切りなんかはいれてなかった。皮とか混ぜたのかな?
後味はしっかり上品な茶の味で、ガサガサ作る俺の渋いお茶とは大違いだった。
「タナさんっっ。
これ、このお茶に混ぜてあるハーブっ!これっなんですかっ。」
声を上げたのはナコだ。
「茶葉に、二種のハーブを足しています。
嗅いでみます?」
「嗅いでみますっ。」
「ミトの葉はご存知ですね、こちらと、レモン草を茶葉に混ぜています。
眠気覚ましやスッキリしたいときはミトの葉を多めにしますが、今日はレモン草を多めに、香りを強く出しました。」
「すご。
本当に檸檬の香り。乾燥してもこんなに香るんですね。」
「ええ、輪切りの檸檬を浮かべるのもいいですが、お茶の味もしっかり楽しめるので私はよく使います。」
「どこで売ってるんですか?」
「こちらの国ではまだ出回っていません。
ドウ様が親しい農家に株分けしましたから、上手く出来ていれば近々バスィルで購入できるかもしれませんね。」
「バスィルの農家に株分けしたんですねっ?」
「はい。
マカカの森にほど近い村です。」
「ありがとうございますっ!」
ガバッと頭を下げるナコ。
満面の笑み、、そのうち姉と義兄をバスィルへ向かわせるんだろうなぁ、、、。
「夕飯まで今少しかかりそうですね。
皆様薬学を学ぶ方ですから少しハーブのお話をしましょうか。
ドウ様はハーブにもとても詳しいのですよ。
香草は、香りだけを楽しむもの、料理に使うもの、さらに薬になるものもあるのです。」
タナさんはテーブルにあれこれ乾燥したハーブを出してくれた。
「先程お出ししたのは気持ちを落ち着けたり、喉や鼻の通りをよくするもの。
それから、、お通じや胃腸を整えるもの、これは手足の冷えに効くものですね。
確かに薬草に比べれば効果は微々たるものです、ですがお茶と同じ様に趣向品として日常的に、継続して口にできるのは強みです。
お時間あればぜひそちらも勉強されてはいかがでしょう?損はございません。」
俺達は、目の前のハーブを手に取ったり、嗅いでみたり、おすすめの使用方法を聞いたり、、、先生が来るまでハーブの授業を堪能した。
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