43人が本棚に入れています
本棚に追加
慌てて止めようとする俺は、手を出すのをやめた。
なんか、男がやたら長くて透明の、先の尖った棒状の槍のようなものをいつの間にか手に持っていたからだ。
何処から出した?それ?
それを女に渡す。
女は力いっぱい振りかぶって、力いっぱい投げた。
「ほい。」
「はい。」
男は手に透明の槍をホイホイ作ると、女がビュンビュンと音を上げて投げていく。
顎が外れるかと思った。
ここからデスワームまで70m位あるんだぞ。何故に届く。その細腕で。
20本は投げたか?
少なくとも一体に五本は刺さっている、、、
体液を撒き散らしてもがき暴れている。
「とどぅめを刺すぅうか。」
「はい。参ります。」
タタタとデスワームへと走っていく二人。
「あ、おい待てっ!行くぞ!マノー!」
「はっ、はいっ!全員援護ぉ!!」
勝てる!よくわからんが、勝てる!
殉職回避だっ!
慌てて二人を追いかけた。
俺が追いついたときには、一体のデスワームが例の透明の尖った棒(更に長め)数本で串刺しにされていた。
ビクンビクンしてるのが気持ち悪すぎる。
二人はもう一体へ立ち向かう。
俺達はもう一体だ!
辺境伯領の兵隊としての面子がたたーん。
デスワームは、空いた体の穴から体液を流しつつ、地面へと潜ろうとする。
刺さってた槍なんで消えた?いや、気にするのは後だ。
「マノー、地の魔石2つとも使えっ!残りはこっちに投げろっ!」
「はいっ。」
パシンと火の魔石を受け取ると、マノーが魔石を使ったらしく、地面が細かく振動する。
驚いたデスワームが潜ろうとするのをやめ、体を持ち上げる。
「開放!」
と、唱え、魔石をやつに投げつけた。
ゴウと火を吹く魔石。
口を開けてのけぞるデスワームにもう一個お見舞いして剣を構え踏み込んで飛んだ。
焼け爛れたデスワームの首と思われる場所に剣を振り下ろす。
太い、半分もくい込まないが、、手応えありだ。下まで剣を切り通す!
ブシュゥと体液が飛び散る。
「うえっばっちぃ!!」
飛び下がって距離を取る。
何度かビッタンビッタンしたあと、ピクピクと痙攣してデスワームは静止した。
部下達が念の為止めを刺しに行く。
「隊長、やりました、、臭えっ!」
「うるせぇマノー!水だせ早くっ!」
「へいへい。」
「はいだバカ。」
デスワームの体液は早くとらないと臭い上に変なシミがいっとき残る。
本当に迷惑極まりない魔物だ。
マノーが俺の頭の上に手をかざす。
手のひらからジャー、と水。
粗方体液を流して、自分で風を出し、水を軽く飛ばす。
クンクン、まだ少し臭いけど、、
「よし。」
気合いを入れて、得体のしれない二人へと向かう、、、居ねぇ!!
と思ったら、既に辺りのけが人を介抱していた。
その上、二人共やたらと手際がいい。
。。。何者だ?医者か?
高位魔法士には違いないが、、、見たことのない魔法だった。
だが、こんな辺境の地に用も無いだろう。
高位魔法士なら国から爵位を貰って悠々自適な暮らしをしてるはずだ。
後で聞こう。
今は俺達も怪我人と死体を何とかするのが先だ。
そのうち退却した四、五隊も戻ってくるだろ、、、
ーーーーー
ーーーーー
★特典にて、ドウとタナ視点あります。ぜひ。
最初のコメントを投稿しよう!