ジークとサニャ1 同士は言葉なくとも通づる

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「どうも彼が言うにはデスワームの唾液には痺れ毒が含まれているらしい。  彼が解毒薬を飲ませた者と、飲ませていない者の様子の違いで私もわかったんだが。    来たばかりの彼には詳しく調べる伝がない、ならば私が喜んで調べようかと。  どの程度の毒なのか、じっくりな。」  じっくり調べるんだ、、その唾液、、  気持ち悪いが、医長は上官に当たるからな、、仕方なく真面目に聞くことにした。 「なんで今まで知られなかったのですか?」 「デスワームは討伐後すぐ焼くだろ。  それに噛まれた者はその場で死ぬか食われるか。知れる程の負傷兵が生きて戻った事が初なんだよ。」 「。。確かに。  俺達じゃ唾液を採取しようなんて、、絶対嫌だ。」 「彼の使った薬草は中級解毒薬だ。見たところこっちのクダミ草と同じ。  他の解毒薬でも効くのか、、量に濃度、そのへんも調べたい。」 「調べてどうすんすか?」  唾液より、食われないことが一番だ。  唾液に濡れるほど近いと言うことは胃袋一直線待ったなしだろうが。  そんな考えが顔に出ていたらしい。  勿体無いと言わんばかりに俺を諌めた。   「だから探究心が無いと言うのだ。  少しは彼を見習いたまえ。  デスワームの生態がまた一つ明かされると言うのに。  更に、痺れ毒として使えるなら色々使い道もあるだろう。ヒヒッ。」 「。。。医長、変態の部分が出てます。」 「おっと、すまんすまん。」  変態であることを認めている医長はある意味すごいと思う。  あまりお近づきにはなりたくないけども。 「話が終わったなら彼は連れて行っていいですか?とりあえず住む家に案内しないと日が暮れます。」 「そうか。  まだ話たいが仕方ないな。」    本当に面白くなさそうな顔の医長。  会話成り立たないだろ?なるの?同類だからわかるのかね? 「さ、ドゥ、申し訳ないがとりあえずこっちの決めた住まいで過ごしてくれるか?  二、三日で自由になるとは思うが。」  いえいえと、顔の横で手を振って、 「ジーク、すごく感謝。助かます。」  と、笑顔で言った。  、、、人懐っこいと言うかなんというか。  変態医長が興味持つし、とんだ人誑しだ。   「ああドゥ、商業ギルドに行くなら、その前に薬師のカーマイの所に顔を出すといい。  必ず君の力になるはずだ。」  医長はサラサラと一筆書いたものをドゥに手渡した。 「ありがとぅごじゃます。また、来るします。」 「待ってる。」  ペコリと頭を下げて出ていくドゥ、共に部屋を出ようとした俺を医長が呼び止めた。    先にタァナとさっきの部屋で待つように伝え、医長の前に戻る。  変態と話すことはもうないんだが、、 「なんですか?」 「彼は何処の国からだと?」 「いや、発音が違うみたいで、いまいち聞き取れないんすけど、ウェルラ?スェルラ?そんな国名でしたね。」  医長はふぅむと思案して口を開いた。 「ステルラ王国ではないのか?」 「、、、だとしても聞いたことがありません。」    俺の知る地図上にはそんな王国は載っていない。 「私も聞いたことはないが、文献で見たことはある。」 「?」 「彼等は砂漠を越えてきた者だろう。」 「は、え、や、無理でしょ。  砂漠を越えるなんて自殺行為もいいとこだ。  デスワームはもちろん、猛毒の大王サソリに砂紋蛇なんかもいます。  それに朝晩の寒暖差は人間には耐えれない。  まず、無理です。」 「本当に無理と思うか?」 「、、、いや、彼等なら、、、あり得るかもしれませんが、あまりにも無謀でしょう。」  高位魔法士でも砂漠は入らない。  何処から魔物が現れるかわからない恐怖と、何日彷徨うかわからない砂の大地。  普通の人なら気が狂う。
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