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ジークとサニャ2 新しい2階の住人
「悪いな、狭いが二部屋あるし、問題ないだろう。何かあれば俺でもサニャにでもいい、遠慮なく言ってくれ。」
と、二人を部屋を案内すればコクリと頷いた。
「とりあえず、布団なんかは運んだけど、必要なものはまた明日にでも見繕って運ぶわね。
この町初めてなら、明日にでも一緒に買い物行きましょう、安いとこ教えてあげる。」
ペコリと頭を下げたあと、ドゥが袋から1枚のコインを出した。
「使える?」
「。。。金貨ね、両替は無理だけど、いい値で買い取りしてもらえるんじゃないかしら?」
「へぇ、初めて見る硬化だ。
他国から来たんだから当然か。
明日、商業ギルドに案内するから、買い取り出来るか聞いてみよう。」
「ありがとぅ。」
「お礼なんていいのよ、ジークの命の恩人だもの。
子供の顔を見る前に死なれちゃたまらないわ。」
「そうだ、気が済むまで甘えてくれ。」
そう言えば二人はまた頭を下げた。
俺達の住む軍の集合住宅、上の部屋が空いていたのはちょうど良かった。
俺とサニャで二人の様子も見れるし、この町になれるまでは助けてやりたい。
家賃は軍持ちだ、俺の安給には響かないし。
サニャの作った夕飯を食べて、二人は二階へ上がっていった。
二人の足音が聞こえなくなるのを待ってサニャに声を掛けた。
「悪いな、面倒かけて。」
「面倒なんてちっとも。私にとっても子供にとっても彼等は恩人だもの。」
ニコニコと笑いながら、ふっくらとしてきたお腹を擦る俺の妻は、元々軍の同期だ
軍学校も同じ、俺は治安部志望で彼女は情報部志望だった。
巡り巡って俺は討伐部のいち部隊長になってるが。
彼女は前々から観察力が高く、情報収集能力もある。
的確な判断のできる彼女は俺の良き相談役で、尊敬できる女性。
優柔不断で猪突猛進型の俺には無くてはならない大切な奥さんだ。
だから今回も彼女に聞いてしまうのは仕方ないと思う。
「あの二人、どう思う?」
と。
「ふふ、報われない恋の逃避行かしら?ロマンチックよね。」
「そういうのじゃなくて。」
真剣な顔で聞けば、彼女は思案顔で、切り出した。
「ごめん、そうね、、、
見た?彼の得物?」
「いや、短剣とナイフは腰にあったが、しっかりとは。」
「貴方ねぇ、魔物ばっかり相手してるから人に対して鈍くなってるんじゃないの?」
スマンと苦笑いで謝れば、仕方ないな、と話してくれる。
「メインは背負ってた弓ね、握手したとき指にタコがあったもの。
いい腕なんじゃない?
弓は、このあたりで見たことない形だったわね。クロスボウに近い形だったけど。」
うーん、と思い出すように考えた後、続ける。
「装飾されてたけど、、たぶん吹矢もさしてた。
それから彼女、すごい綺麗な姿勢だけど、それなりに体術ができると思う。
お仕着せでわかりにくいけど、、いくつか暗器仕込んでるわよ。」
「。。。まじ?」
「まじ。」
俺の嫁、観察眼がスゴイ。
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