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「スパイ?」
「怪しいけど、、、んー、怪しいけど。
それならあんな堂々と得物さらさないと思うのよ。
スパイなら、こっちの言語は始めから流暢に話せるはずだし、タァナは愛想無さすぎよ。
逆にドゥは表情出過ぎ。
タァナは最初そうかなって思ったけど、、領主にメイドとして雇われたいって訳でもなさそうでしょう。
そうね、、、ドゥに依存してる感じ?彼女、彼のために生きてるって感じがする。
たまに彼を見て口元が緩むの、それにね、彼とは普通に会話してたわ。
笑ったら可愛いでしょうに、彼にしか心を許してないのかしらね。
そんな印象よ。」
「奔放な若君と心配症でついてきた侍女って線は?父親に息子を頼むって雇われてるとか?」
「あははっ、いいねそれ。そんな小説ありそう。
ガッツリ主従関係に見えるけど、違うわ。
二人の会話、ちょこちょこわかるから聞いてたけど、彼女が暴走して彼が諌める感じ。
彼の身の回りの世話をしてるのも、あのお仕着せ姿も、好きで勝手にやってるのよ。
面白いわよね。」
「えーと、つまり、タァナはあれが普通なのか?」
「ええ、あの姿が標準装備なのよ。
ドゥは対等なつもりだわ。」
「結果、危険じゃないと。」
「わかんない。
会ったばかりだし。でも彼、悪い子じゃないし、タァナも悪意は微塵も感じないわね。
二人の様子は私も見るから、とりあえず様子見でいいんじゃない?」
「そうだな。」
「そうよ、変に疑って敵対してご覧なさいよ。
デスワーム二体以上の強さなのよ、この町がただじゃ済まないでしょうよ。
圧倒的強者は、勇者にもなるし、魔王にもなるんだから。
味方につけとくべきでしょう。」
「魔王は、、困る。」
うん、串刺しにされるのは嫌だ。
普通にしてりゃただの好青年だしな。仲よくしよう。
翌朝、マノーが迎えに来た。
城に報告に来いって、お達しらしい。
サニャに二人を頼んで早々に家を出た。
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