魔法使いと2人の少女

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馬鹿馬鹿しいとは思いながらも、少し気持ちを落ち着かせてから独り言を呟いてみた。 学校で吐いちゃったこと。 男の子達にいじめられていること。 皆が見て見ぬふりをしていること。 お父さんを悲しませたくないこと。 何もかも嫌で、自分を嫌いになってしまったこと。 いっそ他の誰かになってしまえば楽になれるんじゃないかと思っていること。 今、他にバスを待つ客が来なくて良かった。ぶつぶつと自分の悩みを呟く中学生と、下手くそな寝たふりをする男の人がいる不気味な停留所だ。通報されてもおかしくない。 あっという間に15分が経って、予定通りバスが来た。男の人は椅子から立とうとはしなかった。 「乗らないんですか?」 停車して待っていた運転手がドアを開けて尋ねてきた。 「あ、乗らないです。すいません」 男の人がそう言うと、運転手は怪訝そうにしてドアを閉め、バスを発車した。 再び停留所は2人きりになった。もう私は独り言をやめて、気まずい空気の中恐る恐る訊いた。 「私のために残ったんですか?」 「泣いている女の子を置いていけませんよ。ご飯ももらったのに」 「.......ごめんなさい」 「何も謝ることはありませんよ」 「でももう、本当に大丈夫です。今まで声に出して悩み事を言ったことがなかったから、だいぶすっきりしました。また、頑張れますから」 「頑張るというのは、何を?」 「え?」 彼の質問に、口を紡いでしまう。
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