魔法使いと2人の少女

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仰向けになって長く息を吐いた。ズキズキとお腹が痛む。暗い天井を見ていると、目が開いているのか閉じているのかそのうちわからなくなった。何も考えずに済む空間を独り占めして腹の痛みがおさまるのを待つ。 まだ数分も経っていない内だった。地面をこするようにして歩く足音が聞こえてきて心臓が跳ねた。 まさか、あいつらが追ってきたのだろうか。いや遊具もない、こんな何もない所にわざわざ来るわけない。絶対に違う。 違うと決め込んでもつい身構えてしまう。大人だったらぐったりしている私を見て声をかけてくるかもしれない。そうなると困る。大人達にいじめの存在が知られてしまう。 足音が近くに迫ってきた。慌てて起き上がって何でもないように座った。できるだけ気配も消した。 やけにゆっくりな足音の主は、バス停の前で止まった。 スーツ姿の、見慣れない男の人だった。他には誰もいないようだ。 ほら、あいつらじゃなかった。 ほっと胸を撫で下ろしたが、男の人はいつまで経っても停留所から離れようとせずうろうろしている。気が散って仕方がない。 早くどこかに行けばいいのにと苛立つ。 もはや男というだけで敵視していた。近くにいられるのが嫌で嫌で仕方がない。 この場所を去ろうか、居座っていようかで悩んでいたが、結局お腹の痛みが完全になくなるまで膝を抱えてじっとしていることにした。 「すいません、この辺にコンビニはありませんか?」 声は明らかに私へと向けられている。嫌々ながらも顔をあげて男の人を見る。きりっとしていて賢そうな目と合う。二重まぶたがくっきりしていて鼻も高いしおまけに目や髪や肌の色素が薄かった。ハーフなのかもしれない。こんな目立つ男の人がこの辺にいただろうか。 「あ、はい。えっと、1番近いのは確か向こうに.......」 コンビニのある街中の方を指して教える。土地勘がないということはここに住んでいる人じゃなさそうだ。 「歩くと遠いですか?」 「時間、かかると思います。田舎だし。歩いたら30分くらいかな? バスに乗ればすぐですけど.......」 「バスはあとどのくらいで来るんでしょう?」 「あと15分です」 「そっか、困ったな」 さっさとどこかに行けばいいのに、男の人はいつまでも停留所の周囲をぐるぐると歩き回る。歩いて行くか、バスに乗るか迷っているみたいだ。 「.......どう考えてもバスを待つ方が効率良いと思うんだけど」
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