ブルーギル

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「我の醜態……。もといっ! 我の目的を知ったからには、小娘っ! キサマを生きて帰すわけにはいかぁんんんん。おとなしく海のモズクとなれいっ! ギールギルギルギルギル!!」 「海の藻屑でしょーっ!!」  ウチのツッコミを無視してブルーギルギルはその丸太のような四肢をいっぱいに広げてウチに襲いかかろうとした。と、そのとき! 「んんまぁてぇぇいっ!!」  星の下に凛とした声が響いた。 「むっ、なにやつ!」  ブルーギルギルはその声に動きを止めて周りを見渡す。 「どこを見ている。こっちだ!」  声のした方を見ると、灯台の屋根に人影が立っていた。 「誰だキサマッ!」 「可憐なこの姿を忘れたか? ブルーギルギル!」 「あ〜いや。灯台の灯りが逆光になって見えないのよ」 「あら、そう。ごめんなさい」  人影は、「とうっ!」という声とともに灯台の屋根からジャンプした。そして華麗なひねりを加えて、海に落ちる。  タッパァァァァン!!と派手な水音と飛沫をが上がる。  あー、あれは痛いヤツだ。もろにお腹打った音した。  海に消えた謎の影は、足を滑らせながらテトラポッドをよじよじと登ってくると、ウチとブルーギルギルの間に割ってはいって、ブルーギルギルをビシッと指差した。  その影はダークパープルの仮面を被った小さな女の子のものだった。  あの仮面はなんだろう。龍を模してるのかな。それにしてはなんかまるっこい。ぴょんと跳ねているものはヒゲかな? 「がぼがぶべびびぶべっばぼぶぶーびぶびぶ、びばばぼぶびびばばべぶ!」 「は?」 「は?」  ダークパープル仮面は何かを叫んだが、何を言っているか全くわからくて、ウチとブルーギルギルは首を傾げた。  ダークパープル仮面はブルーギルギルにジェスチャーで、「ちょっと待ってね」とすると、ウチやブルーギルギルから見えないようにして、マスクをちょっとだけズラすと中に入っていた海水を出した。 「待たせたわね!ブルーギルギル!!」 「キッ、キサマはヴェース!何故こんなところにっ!」  いやいや。あのー、なんか色々とツッコミたいんだけど。つーか、この人いつから灯台の屋根にいたんだ? 「いつからいやがった!」  お、いいね。ブルーギルギル。ウチもそれを聞きたかった。  「……淡水魚じゃん。の、くだりくらいからよ!アンタに見つからないように、テトラポッドの影に隠れて移動して、灯台の屋根に登ったのよ!」  あ〜。コイツもバカだぁ〜。 「我の醜態を見たからには、キサマもその小娘も生かして帰すわけにはいかん!覚悟しろ!!」 「ふん。この娘には指一本、ウロコ一枚触れさせないわ。ブルーギルギル!」  そう言うとダークパープル仮面、改めヴェースはウチをお姫様抱っこすると大きく後方へ飛んだ。  ちっこいのに力持ちなんだなぁ。細く見えるけど、ウチ意外と重いよ?  ヴェースはウチを安全な場所に下ろすと、「すぐお家帰れるからね」と囁いてすぐさま地面を蹴ってブルーギルギルに突進して行った。 「ヴェース・シュラーゲン!」 「ギールギルギル!」 「ヴェース・トリッツェ!!」 「ギールギルギル!!」  ヴェースは自分の三倍くらいあるブルーギルギルの巨体に果敢に攻撃をしかけるが、ブルーギルギルのヌメッたボディに拳や脚を滑らせてまともなダメージを与えられない。
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