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澱
心に澱が降り積もる。
一杯になったら終わりだ、何が終わりか分からないけど、とにかく終わりなんだ。
学校もバイトも家も。全てが上手くいかない。
失敗の連続。
悔しい、腹が立つ。妬ましい。憎い。
こんな時は心の底の排水口をそっと開ける。
慌てて開けちゃいけない。
澱が舞い上がらないよう、そうとそうと排水バルブを回していく。少しづつ少しづつ檻が流れていく。
一度に沢山流しちゃいけない、流しすぎると逆流してきて大変な事になる。
明日も頑張ろう、何とかなるさ。そう思える程度まで澱が減ったらバルブを閉める。
閉める時もそうと閉める。
閉め切ったら、一息ついて眠ってしまう。
これで明日も何とか生きる事が出来る。
排水口を見つけるまでは大変だった。
毎日毎日寝る前に、ひしゃくで澱をすくって捨てていた。
誰もが持っている排水バルブ、見つけるのが大変な排水口。
でもいつか、溜まった澱を揺らしてかき回す馬鹿が現れる。
そいつの名は『恋人』と言うんだ。
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