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携帯もテレビも使えないため何の情報も得ることもできなかったが、ナナミ以外の誰もが命を吸われたように消えた街のなかで、彼女はこの街の多くの住民が消えたという事実を静かに理解した。
上空の奴らが去って一週間ほどがたった頃、ナナミは恐る恐る外に出た。頭の上を気にしながら、物陰に隠れて進む。マンションの両隣の住人も、その上の階の住人も誰もいないらしい。
電気も止まったので階段で街に降りた。こんな事態じゃなければ、気持ちよく晴れた清々しい朝だ。
いつも賑わっていた商店街も静まり返っていた。人間だけじゃない。犬も猫もカラスも、虫さえもいない。
どうして自分だけがここにいるのか。分からなくなった。
それはまるで映画のセットのなかを歩いているような感覚だった。
「助けて!」
奴らに聞こえないようにして、強く喉から声を出す。だが沈黙が続くだけで、何の返答もなかった。本当に誰もいなくなったかのように、孤独が押し寄せる。
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