夢の澱

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 オレンジ色に光る薄片の中には、在りし日に語り合った言葉が入っていた。 「はあーあ。うちらもとうとう卒業かあ。」 「なんか、あっという間やったね。」 「うん、本当。ね、理絵覚えとる?うちらが初めてあった時。教科書買う日にさ、初めて喋ったやん。」 「覚えとるよー!めちゃくちゃ人おってさ。そしたら由香が話しかけてきて。」 「えー、嘘!!理絵から話しかけてきたやん!!」 「いや、それは絶対違うって!絶対由香からやった。うち、覚えとるもん!」 「本当かなー。」 「うん。そうだって。」  誰もいなくなった校舎を夕日が赤く染め、二人の少女はチラホラと部活の自主練習で生徒が残っているグラウンドを見つめて佇んでいた。 「ねえ、理絵。東京行って寂しくなったらさ。いつでも帰っておいでよ。うち、多分ずっと地元におるけん。」 「またまた、そんなこと言ってー。寂しがっとるのは、由香やろ?」 「は?違うし。あんたが、東京でやっていけるとかねーって心配してやっとうと!!」 「アハハ。もちろん帰ってくるよ。絶対。」 「絶対?」 「うん。絶対。」  由香はぎゅっと理絵を抱きしめた。 「絶対うちのこと忘れんでよ!何かつらいことがあったら、絶対電話してよ!!いつでも待っとるけん!」 「うん。うん!当り前やん!うちら親友やん!!」  夕日に照らされた少女たちは固く抱き合い、別れを惜しむように、泣いていた。
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