夢の澱

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青白く光る薄片には、苦悩が刻まれていた。 「おい中村!!」 「は、はい!」 「お前、今期のノルマ達成できてないぞ!何やってるんだ!」 「申しわけありません。」  中村と呼ばれた若い女性は深々と頭を下げた。周りの従業員は、反応する素振りさえ見せずに、デスクに向かってそれぞれの業務を進めている。 「ったく、お前みたいなのがチームの足引っ張ってるんだよ。分かってんのか。女の武器でも何でも使って案件取って来い!バカ野郎!」 「すみませんでした!!頑張ります!!」  黒い断片は、深く深く癒えない傷の色だった。 「・・・ごめん、理絵。俺、言わないかんことがある。」 「・・・何?」 「・・・・・。」 「何よ。言わないかんことなら、言って。それとも、私に言わせるん?」 「・・・俺、好きな人ができた。ごめん。」 「うん。多分、知っとった。」 「あ!あの!!」  理絵は、手で恋人だった男が言おうとしている言葉を制した。 「何も言わんで。多分、相手が誰かも分かっとる・・・。」 「ごめん。本当ごめん。」 「・・・別に謝ることじゃないし。幸せになってね。」 「あ、ありがとう!理絵も、幸せにな!理絵なら、絶対いい人いるから!すぐ彼氏できるって!」 「・・・・・うん。じゃあね。」 「じゃあ、元気でな。」  男を見送ると、理絵は後ろ手にパタンとドアを閉めた。 「・・・っう。ぐ・・。うう。ううわあああ!!!くそ!あのバカ!!ありがとうじゃねえよ。バカ男!!ああああああ!!」
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