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ある日、先生とパズルで遊んでいたむすこ。パズルに描いてある人物が怒っているように見えると言い出した。
先生「怒ってるかなー?真剣な顔してるだけじゃないかな?むすこくんのママは、怒ったりするの?」
先生の何気ない質問に私はギョッとする。
先生、なんですかそれ。その質問はよくないです、毎日ね、オニババのように怒ってるんです私。いや、この世の母親が皆、怒りたくて怒っているわけではなく、今日も怒りすぎたなと後悔しながら夜を過ごしているはずなんです、ここではそんな風に見えないと思いますそりゃそうです大人なんで。そして息子は素直全開な3歳なんで、本当のことをサラリと言ってしまうと思います、ああ、オワッタ、お母さんめっちゃ怒るよって言うんやろな、言うよな、絶対言うよなーーーー
オニババであると暴かれたくない私の叫びが、息子が口を開くまでの1秒間に、頭の中を駆けめぐる。
「おかあちゃんはな」
少し考えて息子が答える。
「おかあちゃんはな、妹ちゃんが嫌がることしたときは、怒るねん〜」
…!!!
3歳の息子の口から出たのは模範回答中の模範回答だった。心の中で盛大な拍手を送りながら、何事もない顔で微笑んでおく。ああ息子よ、よくやった。いつのまにかこんなにも空気が読めるようになっていだだなんて、おかあちゃん感動っ。
オニババとバレずに済んだことにホッとした私だが、冷静になってよく考えると、毎日エネルギー振り絞って怒っていたのに、もしかして息子本人は怒られているという認識ではなかったのかもしれない、と気づいてそれはそれでげんなりしたのだった。
2022.3.
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