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駅のロータリーが見えてきた。
いつもの駅のいつもの時間だ。
だんだん 日も長くなって
ちょっと前までは
真っ暗になってたこの時間なのに
今はヒトの顔もはっきりと見える明るさだ。
てくてく歩きながら
制服姿のカップルに目が行く。
告白して成功したのかな…
そんな考えても仕方ないことを想像した。
何も変わりのない風景なのに
私の心だけが置いてけぼり。
ちょっとだけ勇気を出してたら
もっともっと勇気を出せてたら
ちゃんと渡せてたのかな。
もう少しで到着するはずの駅が遠い。
歩いて歩いて
何もしていない自分を悔やんでる。
だけど
今日は、もう終わり。
1年に1度のバレンタインデー。
何もしなければ
365日のありきたりな日常。
咲也くんに渡せなかったチョコは
自分が家で
泣きながら 泣きながら
食べることになるんだ。
それだけは
今日いちばん 簡単にイメージができた。
やっぱり
泣くのを我慢する限界が来た。
「ひより？」
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