分別は正しく

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 明日は週に一度の伊鈴の当番だ。何を作ろうかと思いながら味噌汁をすすっていた伊鈴は、途切れた音に顔をあげた。  画面の向こうはかすかに騒めいて、手前から紙がにょっきり現れる。受け取ったアナウンサーは紙に目を落としてからすぐに前を向いた。 「速報です。○○県○○市の山道から、大量のごみが発見されました。不法投棄されていたものが滑り落ちてきたと思われますが、詳細は現在調査中です」  伊鈴はふと、横に置いた鞄を見た。犬はポケットから半身を出した、昨日と同じ格好でこちらを見ている。  そうか、同じことをするところだった。  謎が解けて、伊鈴はごめんねと声をかけた。昨日見つけて息をついたのは、また一緒にいられると安心したからではない。意識のないままに捨てた、ないがしろにした後ろめたさが緩んだからだ。  不法には捨てていなくても知らぬ間に放ってしまった。それくらい気にも留めていなかった。中に詰まった時間ごとどうでもいいと、なかったものにしてしまった気がしていた。 「またそのごみの山から男性三人が発見され――」  それはまた随分な。あまり聞かない流れに伊鈴は画面に目をやった。  たったさっき撮ったのかもしれない。揺れが多い上からの映像。焦点が定まった瞬間、伊鈴は箸から豆腐を落とした。
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