我がニャはバステト

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我が名(ニャ)はバステト。 豊穣や性愛を司るエジプトの猫の姿の女神ニャ。 今、日本では『猫耳』があったり、『猫系』の顔の女が人気だと聞いたニャ。 ニャので、元祖猫耳があり猫系の私が、日本の男達に本当の猫系の美しさを教えてやりに来たニャ。 猫の姿で船に乗り、密航すること約1ヶ月半。 私は漸く、猫にとって約束の地ーー東京に降り立った。 そうして、日本の若者が沢山集うという原宿へ向かう。 よし、ここでいいニャ。 原宿駅のトイレに忍び込む私。 私はここで最後の仕上げを行う。 確か、日本ではスラリとした体型が人気らしいと聞いたニャ。よし。 姿は猫のまま、身長だけをスラリと人間サイズの8頭身に伸ばす私。 続いて、調べたら、日本の男はサラサラヘアーとやらに弱いと書いてあったニャ。 私は、後頭部の毛皮だけを足首まで伸ばす。 よぅし、これで準備は万全ニャ! 満を持して、私は原宿の街に飛び出した。 「うわあああ!き、気持ち悪ぃぃぃ!」 「キメラだー!キメラが出たぞー!」 「2ちゃんねるの8頭身モナーが現実に現れたぁぁ!!」 私の姿を見た瞬間、走り去る人間達。 口々に何かを叫んでいるが、私は日本語はちょっと分からない。 が、心配はニャい。ふふふ、ニャるほど。 他の神から聞いた事がある。 日本人は大変奥ゆかしい民族である、と。 つまり、これは……照れニャ!! もう、仕方ニャい人間達ニャ!! 長い手足を活かし、2足歩行で全力疾走で人間達を追い掛ける私。 すると、不意に目の前に1人の男が現れた。 「ガチ猫たん萌えー!」 ガチネコタン?モエー? 男が言っていることは分からなかったが、私を誉めていることだけは雰囲気で分かる。 きっとこの男は私に仕えたいのだろう。 私は男を肩に担ぐと、悠然と歩いてその場を立ち去った。 あんなに大声を出して、私の来訪を喜ぶニャんて。 やはり、日本人は素晴らしい民族ニャ。 私は再度の来訪を固く心に誓った。
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