蜂の恩寵 序文

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蜂の恩寵 序文

第36回 宗教学専攻 研究論文  学籍番号:03685 「蜂の恩寵」 〈序文〉 放蕩のまま、 殻を剥いて過ごす液晶の外側は、 最早自らの官能核を露出し、 彼等の見る懊悩の夢へと 険しい表情と四肢の動きで進んでゆく。 軟体動物を摺鉢で解体したかのような 姿見をした彼等は 自身の節目節目を卑しく鑑定し、 眼球は譫妄状態の如く回転する。 加えて、彼等は口元に微笑を浮かべるのだ。 彼等は数的記号しか読めない。 脳の味噌が足りないからだ。 彼等は鐘の音を非常に畏怖しており、 その高音域の雑音が響き渡る度に 彼等は蟻の逆鱗に触れたように、 急か急かと労働へと帰る。 ご存知の通り労働とは、 あらゆる性質が狂気を孕んでおり、 あらゆる行為に法や倫理、道徳といった “禁止”が与えられている。 あぁ、口にするだけでも末恐ろしい! では、耐え難き歪な三人称の 贈与の旅話をしよう。
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