黒髪に恋、瞼裏の恋

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 昇降口での会話以降、黒髪に幻想を抱くのは止めた。  去来する想いに胸を締め付けられるときは、目を閉じる。瞼の裏に浮かぶのは温かな闇。あの日、燃え残った想いがくすぶっている。  どうやら、まだ君が好きらしい。  本心に気づけば胸は痛み、闇がそっと慰めてくれる。僕にはこれくらいが、ちょうど良いのだ。  僕達は今日もすれ違う。彼女の髪は陽光に輝いている。 《了》
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