5.真実

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5.真実

宮城が風呂から出た時俺はもう既に夕飯を作り終わって二人分の料理を皿に盛り付けていた。今日作ったのは冷蔵庫の奥で眠りかけていた鶏肉を使ったソテーと同じように冷蔵庫の中にあった食材で作ったミニオムレツとオニオンスープだった。それを見た宮城は 「レベル高いわね、いつもこんなの作ってるわけ?」そう言ってきたのでそれに対して俺は 「別にそんなことはないよ。今日が特別なだけだよ、別に作ろうとすればいつでも作ることはできるけどこんなことがない限り作る機会なんてないよ」 「じゃあ、ありがたく頂くとするわ」 それから俺たちは幸せな時間を過ごしていたがポツリと本音が出てしまった。 「付き合ってまだ短いけれどこんなことをしても結局俺は宮城を先に置いて逝ってしまう、報われないのかな、俺は死ぬまでずっと」 そう俺が言うと宮城俺の両手を上からかぶせるように握ってこう言ってくれた。 「そんなことはないわ、私がいる間は絶対に四ノ宮君を一人にさせないわ」 「ありがとう」 俺の口から出たのはそんなありきたりな言葉だった。けれどそれは間違いなく俺の本音であってそれと同時に宮城への感謝の言葉だった。そんなことを思っていると自然と目から涙がこぼれ俺の手を覆っていた宮城の手の甲へ垂れていったそんな情けない俺を宮城はじっと見つめてこう言った。 「何泣いているのそれじゃ四ノ宮君の顔が台無しよ」 そういうと宮城はパジャマのポケットからハンカチを取り出して俺の涙を拭いてくれた後突然ある一言を言った。 「やっぱり私は四ノ宮君のことが好きだわ、じゃあその気も気を確かめたいからキスしよっ」 そんなことを言ってきたため顔が赤くなってしまったが当然のごとく宮城の方が赤くなっているため俺が冷静に事を運ぶしかないため二人でソファーに移動して前より長く唇が触れるだけのキスをした。頭の中では少し進めることも考えたが、俺にそこまでする勇気はなかったしそんなことをすることで子の場の空気を壊したくなかった。その後は少し話したのち俺は風呂に入って少し考えていた。宮城の事についてだった。たまに宮城は判断に迷っているときがある、これは本当にごくまれだが二人で車に乗っているときにたまに赤信号なのに行ってしまおうとする時がある宮城は少しぼっとしていたと言っているが、本当は違うんじゃないこと思っている。もしかしたら本当にぼっとしているだけかもしれない、けど普段あんなに冷静な宮城がそんなことになるはずはまずない、本当は色が見えていないのかもしれない。だとすれば宮城は高確率で『無彩病』の患者である。 この病気はつい十年前までは治療法が無い不治の病として有名だった、今のスカナンンジビア症候群みたいな存在だったがある患者のデータによって治療法が確立したため今では後遺症の影響が問題になっている病気となっている。但しいくら治療法があるといっても治療をしなければ発症してたった一年で死んでしまう。 自分としては宮城にはしっかり治療をしているかそれとも前にかかった元患者の可能性が一番嬉しいけれどもし現患者でありその治療をしてくれてないならそれはもうどうしようもない、俺個人でどうにかできる問題ではないからだ。そんなことを考えながら俺は風呂から出た。風呂から上がりリビングに戻ったら何やら意味ありありげな顔の宮城が待っていた。 そんな宮城を見て俺は少し警戒してしまった自分がいたことにこの後後悔をするがそれはまた別の話なのでここでは割愛するがその時の俺は警戒しながらも少し何かを期待してしていた。 『あのさ』  俺と宮城声が重なった。一瞬気まずくなりそこから宮城が話し始めた。宮城に会話の主導権を移したのだった。  「四ノ宮君は私の秘密に気付いているのかしら?」  宮城が放った一言は想像通りの一言だった。俺は少し動揺していた、前述していた通り予想していたことだった。けれどいざ言われると少し驚いてしまう。本来ならこの気持ちは宮城の方かもしれないがこの時は会話の主導権を宮城に奪われてしまっているのでそんな気持ちになってしまう。 「少し前から気付いていたよ、けど俺が言うのは少し筋違いだと思ったから言うかどうしようか迷っていたけどいざ言おうとしたら宮城の方から先に言われたからしょうがないかなと思っているよ。」  俺がそう言うと少し納得した顔で言った。 「そうなんだ、ご配慮ありがとう四ノ宮君。もう気付いているから言うけど私は『無彩病』の患者よ、けど治療は受けているから心配はしないでくれる。」  こんな事を言われて少しばかり俺の理性のかせが外れてしまった、その瞬間俺は一瞬だけ獣になろうとした。しかしその後の宮城の一言に水を差された。 「ここでどさくさに紛れて私のことを襲ったりはしないでね。」 この一言で少し冷静になれた気がしたがこのまま終わるのは何故か納得がいかなかったので少し悪あがきをすることにした。
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