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1章 1
西暦2025年。時は令和7年の春。
日本では改革党が与党となり、日本は大改革が始まった。
「働かざる者に自由なし」
働けない理由がないのに働かない無職は、国に逮捕されて強制労働をさせられる事に。
此の世の春を謳歌していたニートたちは、警察に逮捕されて強制労働施設へ次々と放り込まれていく。
10年前に別の世界から日本の北海道に異世界転移してきたハヤトもニートをしていた。
ハヤトは10年に一度、勝手に異世界転移をしてしまうのだ。
ステータスにそう書いてるから間違いない。
10歳の時に北海道の山中に異世界転移したハヤトは、山の中でヒグマに教われていた夫婦を助けた。
腹を空かせて荒れ狂う地球のヒグマなど、ハヤトから見れば小さな子犬以下だ。
その夫婦に引き取られたハヤトは、義務教育もスルーして不登校を貫き、二十歳になった今もニートをしている。
「おじさん、おばさん、明日でお別れだ」
「とうとう、か」
「寂しくなるわ」
「3人も子供ができたから寂しくないだろ」
「それとこれとは、だな」
「そうよ」
ハヤトと出会った時は子供がいなかった夫婦だが、その後に3人の子宝に恵まれたのだ。
「ニート狩り法案が1年早ければ危なかった」
「そうだな」
「そうね」
「警察が来たら、適当に頼む」
「ああ」
「ハヤト君には命も助けてもらって、お金持ちにもしてくれて、何てお礼をいったら」
「気にしなくて良い。俺も金は必要だったからな」
ハヤトは持っている能力を使って、夫婦を大金持ちにしたのだ。
空間倉庫。ハヤトは、自分の空間に日本の品物をたくさん入れ込んでいる。
「次はどんな世界に転移するのかな」
「気になるわね」
「ランダムだから」
「まあ、ハヤト君ならどこでも大丈夫だろ」
「そうよね」
「まあね」
夫婦とハヤトは夜遅くまで話し込んだ。
そして、23時59分。
「あと1分か」
「もう、こんな時間」
「おじさん、おばさん、元気でな」
「ああ。ハヤト君も」
「ハヤト君、元気で。10年後にまた会えたらいいけど」
「いや、ニート狩りの日本はちよっと」
0時になり、ハヤトは異世界転移し、夫婦の前から消えた。
「最後まで『お父さん、お母さん』とは言ってくれなかったな」
「ハヤト君には、10年間だけの仮の住まいだったから」
「他人行儀のほうが別れが寂しくない、か」
「そうね」
「子供たちにもハヤトは無関心だったもんな」
「あえて、そうしてたのよ」
「そうだな」
ハヤトとの10年間を語り合う夫婦だった。
・・・・・
地球とは違う惑星の、とある国。
文明は地球の三國志の時代みたいな感じ。
16歳の少女チャイには野望があった。
「私の力で、この国を世界一の大国にしてやるんだから」
「チャイ。私たちはもう16歳よ」
「知ってるわよ」
「もうね、夢は語れない年齢なのよ」
「夢は語るものじゃなくて叶えるものよ」
「あのね、チャイ。女は軍師になれないのよ」
「知ってるし」
「将軍にも国王にもなれないのよ」
「私は世界一の軍師になるの!」
「いやいや。チャイが頭が良いのは認めるけど、はっきり言って大天才だと思うけど。産まれてくる性別を間違えたわね~」
「それよ。男は金玉があるだけで威張るって意味不明よね」
「威張るのと金玉は無関係だよ」
「男はね、金玉で考えるのよ」
「そうなの?」
「うん」
「まあ、男って女を抱くことしか考えてない感じだもんね」
「男の思考のほとんどはエロね」
「じゃあ、伝説で大軍師のコーメイ様も?」
「そうよ」
「そっかー。コーメイ様もかー」
「男は一皮剥けば、みんな金玉よ」
「でもさ、チャイが万が一で軍師になれたとしても、そんな男たちを使えるの?」
「金玉なんて、私の手にかかればコロコロよ」
「それ、軍師じゃなくて風俗嬢みたいよ」
「手玉にとるって意味だよ」
「分かってるけど」
「ネイ、もっとしっかりしてよね。ほんと」
「あんた、私の母ちゃんみたいだね」
「ネイは私の右腕なんだから」
「はいはい。チャイ様が軍師になられたら、私を使ってくださいね」
「約束よ」
「はいはい」
こんな話を1000回は聞かされて、毎回こんな約束しているネイだった。
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