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「なんとか言ってよ、先生」
蒼空の嗚咽に瑞穂は、ぐぐ、と眉をよせ、はぁ、と重いため息をつく。
くそ、と声には出さず口だけ動かすと、アオ、とまた彼の名を呼んだ。
「俺は約束は違えない。絶対にお前を治してやる。」
たとえ、この命に代えたとしても。
「……本当に?」
蒼空の涙をぐい、と片手で拭ってやりながら瑞穂はにやり、と笑う。
「あぁ。もうお前が、誰も傷つけなくてもすむように。」
「……でも、またこうなったら?」
蒼空の不安そうな顔に瑞穂ははは、と声を出して笑うと蒼空の両頬を両手で優しく包み、こつん、と額を合わせてやった。
「そのときは」
――そのときは、俺がお前を殺してやる。――
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