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捜索
微睡みの中から、ゆったりと瑞穗は身を起こした。
夢を、見ていた気がする。
「梓川さん、こんなところにいたんですか」
ひょっこりと顔を出した紅葉に瑞穗は何か用か、とあくびをすると彼女が差し出している書類に気づきさっと目を通した。
「これでヘマをチャラにしてくださいね」
どこか嬉しそうな紅葉の声と対照的に、瑞穗の顔は青ざめる。
そうして片頬を歪め、紅葉の顔を見上げるとこれは本当か、と震える声で尋ねた。
「私の腕を舐めないで下さいよ」
自信たっぷりの紅葉に瑞穗はうっすらと苦笑した。
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